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PBC[Petit]で活動中のLunaのブログです。
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おくればせながら、学期末のレポートを提出して母国へ帰省することになりました。
 クリスマスを過ごしてしまったので、どうせなら課題までこちらで終わらせてから帰ろうと欲張ったら…大晦日前日になってしまいました。
 もしかして船も埋まってしまっているかしら、と心配したのですけど、なんとかぶじに席を確保できたので、急いで港に向かっていたら…。

 通り道の商店街で、なんだかいいにおい。
 ついつい、ちょうちょのようにそちらに釣られていってしまったところ、露天商のおばあさんがおしるこを売っていらっしゃいました。
 おしるこ、本で読んだことはありますが、実際に食べるのははじめてでした。
 きっと、ひとりだったら、気になっていつつも勇気が出ずに食べ損なってしまったのではないかしら…。
 たまたま、そのお店でさきにおしるこを食べていらしたお姉さまとお兄さまがお声をかけてくださらなかったら、わたしはあの味に巡り合わずに年を越してしまっていたのだと思うと…!
 去年のわたしは、とても運が良かったみたいです。

 お店でご一緒してくださったお姉さま。じんざお姉さま。
 不思議な雰囲気をされた背の高い女性で、どちらの方かしらと思っていたら…やっぱり東のご出身なんですって。
 あまくておいしいおしるこ。年があけたらお餅をいれて、さらにおいしくなるんですって。
 それはぜひ、そちらも食べてみたくなるというものでしょう。年が明けるのが待ち遠しい、とふたりで盛り上がってしまいました。
 でも、ついつい食べ過ぎてしまうほどのおいしさ。
 その分、おうちのお手伝いで働いて消費すべし、と。

 きちんと、お父さまの肩も揉んでまいりましたし、お母さまの来客のおもてなしもお手伝いしてきました。
 発つときには自分のお部屋をきれいにおそうじして…。
 でもきっと、まだまだちょっと、足りなかったかしら。
 なんだか、こう、うん…ふくよかになってしまった気がします、わたし。

 もうおひとり、コールお兄さま。お久しぶりにお会いしました。
 そうしたら、腕をお怪我なさったようで布で釣っていらっしゃるんですもの…びっくりしてしまいました。
 でもわたしが心配する前に、ご友人のかたがたがもう、たんとご心配してくだすったようで。
 すこし困りながらも笑ってお話されたお兄さまは、やっぱりとてもやさしいかただと思います。

 コールさんのお気持ちが、巡って、回って、やさしい空気を作り出す…そうして、わたしはその端っこにちょっと触れさせていただいた。
 なんだかとても、幸せな気持ちになったんです。
 ペティットでよく感じる幸福…生きていることは幸せなんだということ…コールさんはその場にただいるだけで、笑ってくださるだけで、伝わってくるような感じがします。
 きっと、コールさんご自身が、ひとの生というものを大切にされているからじゃないかしら。

だから、わたしは、もし家族やお友だちがこの街を訪れることがあれば…あのかたをいの一番に案内役にご紹介したいと、思いました。

きっと、わたしがまだまだ知らないペティットのすてきな場所を、すてきな語りでご案内してくださることでしょう。


 新しい年は、どんなかたがたにお会いできるでしょうか。
 学友のみなさまはお元気かしら。先生がたも。
 新学期が楽しみです。

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 午後の授業まで時間が空いたので、また商店街に行ってみました。
 とりとめもなく、お店の並びを眺めたり、人の流れを見つめたりするのがとても楽しいと思うんです。
 ペティットは港街ですから、いろんな出身や職業のかたがいらして、どれだけ眺めても飽きません。
 人間観察、と言えば、すこしは勉強っぽく聞こえるでしょうか?

 今日もそうやって商店街を歩いていたら、綺麗な女性がゆるやかな茶髪を波打たせながら胸を張り、堂々と台詞を読み上げている場面――のようなところ、に遭いました。
 わたしが、ちょっとびっくりして立ち止まってしまったら、その女優さん…とわたしが間違えてしまったかたが、ご挨拶を向けてくださいました。

 グリーンのドレスに人魚姫のようなウェーブの髪、やわらかなサファイアブルーの目をした女性です。
 やっぱり、だれが見ても女優さんかと勘違いされるかと思います。
 ううん…サファイア、というよりは、その瞳はもっとずっと奥ぶかそうで、そう、この間ディアナさんからお伺いしたこの街の蒼水晶によく似ていらっしゃるんじゃないかと思いました。

 結局、女優さんかと思ったのは勘違いで…ちょっと恥ずかしい思いをしてしまったのですが。
 ネージュさんとおっしゃったそのお姉さまは、その場のお話をすこうし(はしたないことですけど!)おうかがいするに、どうも旅をされている方のようでした。
 もうおひとり、その場にいらした冒険者のお兄さま…ユベルティさんと、この地域のゾンビ退治のお話をされていたので、もしかしたら冒険者さんなのかも知れません。
 もしかして、いざというときには武器と鎧を身にまとい、さっそうと戦われる女勇者さまでしょうか?
 まるで物語のようですけど、最初にわたしが女優さんかと見間違えたとおり、実はそうなんですと言われてもつい納得してしまうような…そんな不思議な雰囲気をまとったすてきな方でした。

 そう、その、ゾンビ退治のお話をされていたお兄さま、ユベルティさんは、それこそ本格的な冒険者さんのようです。
 ゾンビ退治のご依頼についても詳しく教えてくださって、ルナにもできるよとお話してくださったのですが…。
 お恥ずかしいことですが、わたしはそういう経験が実は全くないんです。
 魔法はすこうしだけ使えますが、本職の魔法使いさんのように呪文を唱えるだけで何かを起こすことはできません…。
 本に呪文を書いて、それでやっと発動する、初歩すぎる魔法なんです。
 そんなわたしがその、イトスギの森、というところにご一緒したとして…きっと、みなさんの足でまといにしかならないんじゃないかしら、なんていう情けない考えがまず出てしまいました。
 いま思うと、そんなことを聞かされても、お兄さまがたも困ると思います。
 でもとにかくその場では、思いがけないことでしたから、ぽんとそんな甘えた言葉が出てきたんです。

 でも…わたしは、なんのために魔法を学びにこちらの街に来たんだったかしら?
 だれかの役に立ちたいからと思ったからではなかったかしら。
 ただ、自分の思うとおりに光を出したり、火を消したり、それだけではなかったはずなんです。
 もっときちんと向き合って考えなければならないと思いました。
 つまりは、勉強をしているくせにその元となる考えをしっかり持っていなかった、そんなはずかしいことです。
 くにでもよくいわれていたように、わたしには甘えてしまうくせがある…。ペティットで、そんな甘ったれから卒業ができるように、がんばらないといけません。

 もうおひとり、この商店街ではヨハンさんというお兄さまにもお会いしました。
 ヨハンさんには会うのは二度目なんです。
 以前、秋にとある書店で開かれた読書会のときに、ご一緒されていたんでした。
 そのときは、人が多かったことと、あんなにたくさんの大人の方のあつまる会にひとりで出席するのは初めてのことで、わたしは緊張してばかりでいっぱいいっぱいでした。
 ですから、きちんとごあいさつもできなかったのに、ヨハンさんはわたしのことを覚えていてくださいました。
 やっぱり、大人のかたの余裕なんでしょうか…焦ってばかりでわたしは恥ずかしくなってしまいましたが。

 あの会を賑やかでたのしかったとおっしゃっていました。わたしも、ほんとうにそう思います。
 もう一度あったらいいのに、と思います。
 そうしたら、わたしはもうすこしはまともに、本の発表ができるでしょうか。

 
 次は、ヨハンさんのおすすめの本の名前もきちんと覚えられるように、メモをしっかり取らないと。
 難しい言葉でも聞き逃さないように、もっと勉強しておかないと。
 お好きだという推理小説も、いくつか教えていただければ嬉しいなって思います。

 また、お会いできますように。

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 まばらにふる雨の中、すっかり最近のお気に入りの通りになった、商店街でお散歩をしていました。
 そうしたら、ふと、冬色の景色のなかにあざやかな絹糸がなびいている…ような光景を目にしてしまって、つい驚きの声をあげてしまった、わたし。
 その絹糸は、なんと女の子の髪でした。ブルーからグリーンへグラデーションのかかったとても綺麗な髪!
 とても平凡な髪色をしているわたしには、それはもう、うっとりするほど羨ましい髪の色です。
 そういえばお友だちのキアラちゃんも、わたしにとってとても羨ましい髪の色をしているのです。

 そうして、まさかこの女の子が、ディアナさんから以前お話を聞いていたピエットさんだとは、誰が思いもしたでしょうか?
 蒼水晶の洞窟に、いつか一緒にいくことになるかも知れない女の子。とってもお会いしてみたかった女の子。
 ディアナさんの大切なお友だち…。
 ピエットさんは、想像していた通り、いいえわたしが想像していたよりもずっと、綺麗な髪と瞳をしていて、照れ屋さんなところがかわいくって、おしゃれに気を使ってらして、きっとわたしより年下でしょうのにお買いものについて詳しく頼りがいがあって、お菓子屋さんをしっかり営んでいらして…。
 とにかく、とにかく、わたしが思っていたよりもずっとすてきな女の子でした。

 お店のカードをいただきました。ぜひ、いちどお伺いしましょう。
 どんなお店でしょうか、きっとピエットさんのイメージ通りなかわいらしいお店なんじゃないかしら。
 今からとてもたのしみ…なんですけど、わたし、そそうのないようにできるでしょうか。
 お友だちをさそって行ってみるのはどうでしょう。キアラちゃんは甘いものが好きだったはずです。
 蒼水晶の洞窟のお話も、もっとできればよかったのですけど…。
 それは、またお会いできた時の楽しみにとっておきましょう。

 ピエットさんの髪に見とれていたら、すぐそばに露天商さんがお店を開いていました。
 お店のご主人はシャノンさん。みため、わたしとそう年が変わらないくらいの男性なんですけど…。
 とってもしっかりなさった方で、お品物の説明もたいそう面白くて、ついつい本を一冊買ってしまいました。
 ピエットさんといい、この街のかたって、わたしと同じくらいの年でもずいぶんしっかりしていらっしゃいます。
 わたしが頼りないだけなんでしょうか、ううん…。
 やっぱり、お仕事をされているから、なんでしょうか。いいえ、性格的なものもたぶんにありそうです。おそらく。


 シャノンさんから買わせていただいた本は、東の国のお話がたくさんつめられたもの。
 わたしは、そちらの言葉はぜんぜん分からないものですから…辞書でしらべながらゆっくり読んでいます。
 わからないところは学院の先生にお尋ねしてみようと思うんですが、まずはわからないところをまとめるところから…で、引っかかってます。
 でも、つぎにシャノンさんにお会いしたら、せめてお話のひとつの感想でも言えるようになってればいいな、と思います。がんばりましょう。
 もう一冊、紹介していただいた本もおもしろそうだったんですけど…そちらは遠い地方のエルフ語かなにかで書かれていたようで、見せていただいてもまったく分かりませんでした。
 わたしの不勉強のせいでしょうか、シャノンさんは創作文字の可能性もあると仰っていましたが…。
 読めるようになったら、きっと楽しいことでしょう。

 東の本を買うことにはしたんですが、わたしったらこの街でひとりでお買い物をするのは初めてでした。
 通貨のこともまだよくわかっていません。ので、恥ずかしいことでしたが、お財布をお渡ししてシャノンさんに代金を取っていただくことにしました。
 そのあと、確認していたら、お財布の中身は銀貨がいちまいだけ減っていて…。
 シャノンさんは、お値段を尋ねた時は指を二本立てていらしたんですが…どういうことでしょう。
 寮に戻ってお友だちに聞いてみたら、おどろかれたり、笑われたりしてしまいましたが…。

 でもきっと、銀貨一枚ではぜんぜんたりないお買い物をしたはずなんです、わたしは。
 だってこの東の本は、おべんきょうもできて、物語を楽しむこともできて、ひとつで二度も楽しめるものですし。
 なにより、あのお店のおかげでピエットさんとおしゃべりすることができました。

 足りない分のお礼を、いつかきちんとお伝えすることができるでしょうか。
 できるならば、彼女のお店の焼き菓子なんかを、そっと添えて。
 港町では、同じ露天商のかたに二度もお会いするなんてなかなかないことなのかも知れませんが…。
 そう、まずはピエットさんのお店をおたずねするところから。


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 お買い物をするにはあいにくの天気な日でしたけど、授業が終わって寮の門限までまだしばらく時間があったので、今年新調したばかりの傘を持ってお散歩に出てみました。
 途中で雨がすうっと引いたので、傘の水をハンカチでぬぐって閉じたところに…足元にコロコロと、赤い琳檎が転がってくる事件が起きました。

 どちらかのお店から転がって来たのかしら、なんて探偵気分で拾い上げたら、知らない男の人の声が聞こえてきます。
 どうやら、琳檎はその方のものだったみたい。お買い物袋にうんとこさ果物を詰め込んでいらして、そのてっぺんから転がり落ちたんだそうです。
 琳檎の持ち主のお名前はギガトールさん。こんなに背の高いひとはいつぶりに拝見するかしら、というくらい大きなおじさまでした。
 琳檎をお渡しすると、お礼にお辞儀をしてくだすったのですけど、その時にまた琳檎がもう一個コロコロと落ちていってしまいました。

 そんな様子を面白そうに見ていたひともいらっしゃいました。学院のレイン先生です。
 わたしはこちらの学院には入りたてですし、お恥ずかしながらそんなに勉強ができるわけでもないので、レイン先生の授業はとっていないのですけど、よく目立つかたですから覚えていました。
 先月には読書会でご一緒していただいたりもしましたし。

 そうしていたら、ギガトールさんも実はそのときの読書会にいらしていたのだとお聞きして、すっかり覚えていなかったわたしはあたふたすることになってしまいました。
 恥ずかしがり屋のおじさまは、どうやらひっそりと参加されていただけということでした。
 そういえば、わたしもギガトールさんがお名前や本の紹介をなさっていたのは覚えていなかったものですから…あらためて、この場でお名前を交換させていただきました。
 大人の男のかたに自己紹介するのは、やっぱり緊張します。

 そうでした、そしてギガトールさんの二個目の琳檎がどうなったかというと、実はもうひとりこの場に偶然立ち寄った女の子の足元に転がっていったんです。
 琳檎の持ち主を探す軽やかな声が聞こえました。聞き覚えのある声です、その主はなんと、学院のお友だちのキアラちゃんでした!

 その琳檎にそっくりな赤い傘を持っていたキアラちゃんは、ちょうど授業が終わって学院からおうちに帰る途中だったようです。
 そういえば、キアラちゃんはご自宅から学院に通っているんです。なので放課の時間にこうやって街でお会いするのは珍しいことでした。
 キアラちゃんには自慢のお姉さまがいらっしゃるそうで、いつかご紹介くださると…緊張するけれど、とっても楽しみです。
 キアラちゃんがあんなに大好きなお姉さまですから、きっと素敵な女性に違いありません。わたしにとっても憧れのかたとなってくださるでしょうか。

 そういえば、そのキアラちゃんと言えば金色から鮮やかな青緑へのグラデーションという、とっても素敵でふしぎな髪の色をしていらっしゃるんですけど、これは染めているのではなく遺伝で、ご親族みなさんがそうなんだとか。
 レイン先生や、ギガトールさんのような真っ黒の髪にも憧れるけれど、わたしも女の子ですから、やっぱりキアラちゃんのような髪を羨ましく思います。

 そんなお話をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまって、ギガトールさんは焼き琳檎のおやつを作るためにもうお戻りになるということで、わたしも続くかたちで寮へ戻ることにしました。
 別れ際、ギガトールさんからいただいた琳檎は、寮に戻っていただきました。お隣の部屋のお友だちがかわいいうさぎさんにカットしてくれて、食べるのがもったいなかったのは内緒です。

 レイン先生とキアラちゃんも、そのあとおふたりでおやつを食べにいかれたようです。
 ふたりはいったいなにを召し上がったのかしら?
 今度学院で会ったら、聞いてみたいと思います。


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 ペティットに滞在を初めて3ヶ月め。いくつかの場所をお散歩してみたけれど、とくにここの広場はお気に入りの場所…。
 ぼんやりあてもなく歩いていると、ついついここに来てしまっていたりして。
 噴水のいっとうそばのベンチが中でもさらにお気に入り。歩き疲れたし、ちょっと休んでいこうかしらなんて広場を見たら、なんだか見覚えのある人影を見つけてしまいました。


 一緒の学院に通っているパティちゃん。わたしよりすこうし年下なのだけど、とっても元気で明るくって、しっかりした女の子。
 学院のお外で会うのはめずらしくって、つい嬉しくなって声をかけようとしたんですが…物怖じしないパティちゃんのそばには、はじめてお会いする大人のかたがお二人もいらしていて、つい戸惑ってしまいました。
 でも、わたしがそうやって挙動不審をしているうちに、あちらのほうからお声かけいただくことができて。
 パティちゃんはご用事があるみたいで、残念なことにそのまますれ違ってしまったのだけれど、その、大人のかたがたが広場に招き入れてくださいました。


 おひとりはステファニーさん。学院のずっと先輩なんですって。どうやら、パティちゃんともお知り合いのようでした。
 学院で星を勉強していらっしゃるよう。そういえば、お見かけしたことがあったかしら…?
 いまはまだ学友たちを覚えるので一生懸命で、覚えきれていなかっただけでしょうか。
 研究室にいらっしゃい、と声をかけてくださいました。勇気が出たら、きっと、いつかお伺いします。
 その前に学院で迷子にならないように、もっと建物を覚えないといけないでしょうけれど、がんばります。
 甘いクッキーに、もっと自信を持ってという励ましのお言葉までいただいてしまって、なんだか足元がフワフワしてしまって、上手にお話できなかったような気がします。
 ほんとうに、もっとしっかりしないといけません、わたし。
 パティちゃんよりお姉さんなんですから!


 もうおひとりはコールさん。ステファニーさんのお知り合いのようでした。
 空のようなまっ青な目が印象的な、明るい雰囲気の男性です。
 大人の男のかたとお話するのはどうしても緊張してしまうのだけれど、見守ってくださるような眼差しに、少しずつ気持ちもほぐれていって…ついつい、持っていた本をお見せしたり、…はしたなかったかしら?
 まだまだ学び始めで、本のなかにはあんまり書き込みもできていなかったけれど、少しあるうちの板書のなかのいくつかを、ご存知のようで優しい声で口ずさんでくださいました。
 魔法を使われるかたなんでしょうか、どんな魔法を使われるのかしら。なんでも屋さんが使う魔法って?
 またお会いできたなら、コールさんのお話も聞いてみたいな、と思いました。


 大人のおふたりにお相手をしてもらっていると、知っているかたもいらしてくださって、ついついほうっとしてしまったのは内緒です。
 ディアナさん、わたしとおんなじお名前の、この街で最初のおともだち。わたしにとってとても大切なかたです。
 コールさんとはお知り合いのようでした。ディアナさんは冒険者をなさっているから、お仕事でご一緒されることもあるんですって。
 そのお仕事で、蒼水晶の洞窟…という場所に行かれたようで、そのときのお話をしてくださいました。
 まっ蒼な水晶で覆われた、幻想的な洞窟ですって。いったいどんな景色なんでしょう、わたしにはちっとも想像すらできません。
 とてもロマンチックな場所のようでしたけど、女の子が苦手とする虫が、そこに大量に現れてしまったとか…。
 思い出して語るディアナさんの口ぶりやお顔からしても、それはとってもたいへんなことだったでしょうと思いました。
 蒼い洞窟にはものすごく興味があるんですけど…二の足を踏んでいたら、ディアナさんの方から一緒にいきましょうとお誘いくださいました!
 一人ではとても無理だし、ディアナさんと一緒に冒険というのもたいそう素敵な提案で、もちろんぜひ、とお約束をしました。
 もうおひとり、ピエットさんという女の子をお誘いになるご予定だとか。どんな方でしょうか、ディアナさんのお友達ですからお会いできるのがわたしも楽しみです。
 ルナも友達を誘ってはどうか、と提案してくださったのですが…うん、まずお友達を広げるところから、わたしはがんばります。


 もうおひとり、ランプレヒトさんもいらっしゃいました。
 やっぱりコールさんとお知り合いのようで、なんでも屋さんってお顔が広いんだわとすっかり感心してしまったわたし…。
 お友達の広げ方を教えていただきたいくらい。
 それはともかく、久しぶりにお会いしたランプレヒトさんは相変わらずお元気そうで、ご自慢のしっぽも楽しげに揺れてらして、見つめているだけでわたしまで元気になるようでした。
 獣人さんって、そういう、ふしぎな魅力をお持ちのかたが多いのでしょうか。
 授業の板書をしたばかりの本を見ていただきました。わたしってばまだまだ音符を書くのが下手ですから、恥ずかしくはあったのですけど…意を決して、勇気を出して。
 十分だと及第点をくださいました。わたしもついほっと安心してしまって、口が緩んでしまったこと…つい、和音のお話や数字と音符の似ているお話や、…ぺらぺらとしゃべりすぎてはいなかったかしら?
 思い出してみると恥ずかしいけれど、好きなことのおしゃべりをして、それを聞いていただけるというのはとても幸せなことでした。
 お付き合いしてくださってありがとうございました。


 楽しい時間はあっという間で、みなさんをお見送りしてから寮にもどるまで、どこをどうやって帰ったか覚えてないくらいにわたしは浮ついていたみたいです。
 その日は、みなさん、またお会いできますようにとお祈りしてからベッドに入りました。
 このお願いはきっと叶えてください、神さま。

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