PBC[Petit]で活動中のLunaのブログです。
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すこし風のつよい日。
でも、この街の春の風は気持ちよくて…。そうだわ、お外で読書をしてみましょう、なんて…
思いついてしまったのが、ことのはじまり。
広場には、わたしとおなじで春風に誘われたんでしょうか? それとも、陽気につられて?
わたしがついたころには、もう、けっこうな賑わいでした。
ごあいさつをしてくださったのは、コールお兄さま。この風では読書はむずかしいぞ、って…。ああ、おっしゃるとおり!
わたしが広場についてすぐ、どこからか、なにかが飛んできました。
それは、商店街のちらしだったり…。女性のお洗濯物だったり…!
なんと、それがいっしょに広場のいらした、とある男性のところに飛んできてしまったものだから、さあ大変。
そのお洗濯物のゆくえを追いかけて現れたお姉さままで巻き込んで、その日の広場は、まるで喜劇の舞台でも開かれているようなものでした。
ほんとうに、みなさん大慌てで…!
わたしも、慣れない海辺の春風の勢いに翻弄されてしまって、自分のお洋服を押さえつけるのでせいいっぱい。
周りにいらした男のかたがたが、気遣ってくださるのが、また申し訳なくて、恥ずかしくって…。
どうしてもっと、うまくおしゃべりできないのかしら。もっと余裕をもって、大丈夫ですって、ささっとドレスをなおせるようなレディであれたらいいのに。
心ばかりがせいて、なかなかどうしてうまくはいかないもの…。
それでもみなさまの優しさのおかげで、さいごは何とか、お話をすることができました。
コールお兄さまからは、ペティットで『さくら』が見れるというお話をお伺いして…。
わたしは、その季節には帰省していたものですから、うっかり見逃してしまったのですけれど、狂い咲きの桜がまだ残っているかもしれない、と。
どこに咲いているのかしら。学院で聞いてみようかしら。そう、今度、後者でパティちゃんを見かけたらきっと…。
でもいつか、きちんと、季節通りに咲いているさくらも見てみたい。きっと、お兄さまのように優しい色合いで咲いていらっしゃるんでしょう。
コールお兄さまといっしょにいらした、銀髪がまるで王子さまのような、自警団のお兄さま。
いいえ、例えるならば、王子さまでなく騎士さまかしら? まるで剣の刃のような、綺麗なおぐしをしていらっしゃいました。
でも…眼差しはとってもやさしい青で。やっぱり、王子さまかしら。 まるで本の中から出てきたようなお姿をされています。
お名前は、アイザック=カルヴァートさま。お名前まで騎士さまか王子さまみたいな素敵なお名前。
お忙しそうに去っていかれました。自警団のお兄さまがたがしっかり守ってくださるから、この街はこんなに過ごしやすいんでしょう。
それとおふたり、わたしが広場に入っていたとき、お兄さまがたといっしょにいらしていた男性。
赤い髪のお兄さまに、もうお一人は金…? 銀…? いいえ、プラチナブロンド、かしら?
赤い髪のお兄さまは、今日いちばん、春風の被害にあわれてしまった…かしら。
腫れたほっぺ、早く良くなりますように。
そういえば、アイザックお兄さまといっしょに急いで行かれたみたい?
自警団のかたでしょうか。やっぱり、お忙しそう。どうかお体はお大事に、お仕事に励んでくださったら…と、おもいます。
プラチナブロンドのかたは、どちらかでお見かけしたことがあったかしら…?
わたしが焦っていると、椅子をすすめてくださいました。おやさしいかた。
物腰がなんとなく優雅なかたで、ちょっと、わたしはきんちょう…。でも、つぎにおあいできたなら、つぎはきっと、きちんと目を合わせてごあいさつをいたしませんと。
おふたりとも、お名前をうかがいそこねてしまいました。自己紹介もできなくって、ルナのばか。
そのあともうお一人、赤毛のお兄さまがいらっしゃいました。
不思議な言葉を使われていたかしら…わたしが不勉強なのもありますけれど。なんだか、はつらつとした抑揚でお話になる、エルフのお兄さま。
アニキ? とおっしゃる、ホムンクルスの研究をなさっておいでとか。うーん、魔法とはまたちがう学問のようです。エルフのかたのお話は、むずかしい…。
最後に残るのは、顔をあげたやつ。はい、ルナはしっかり覚えましたよ! しゃんとして、お日さまをしっかり見て、前を向きます。
そうして、わたしとほぼ同時に広場に入ってきたのは、シスター服のようなお召し物のお姉さま。
アナスタシア…アーニャお姉さま。
この風にお洗濯物を飛ばされてしまったのですって。そのお洗濯物が、そのう、下着だったものですから……たいへん!
うん、ルナもお気持ちはとってもわかります。見知らぬ男性にそれを見られてしまうことが、どれほど恥ずかしいか…
頭が真っ白になってしまいます。お姉さまも、やはり大変そうでした。
お姉さまは、こちらの街にはもう、1年いらっしゃるのですって。わたしよりちょっぴり先輩のお姉さま。
神のご加護がありますように…。ええ、お姉さまのもとにも。
穏やかな風が、吹いてくださいますように。
そうやって、こんな面々でちょっと騒いでおりましたら、きっと目立ってしまっていたんでしょう、遠くから聴き慣れた声が…
パティちゃん。わたしのだいすきなお友達、パティちゃん。
帰省していた間、何度お顔を思い出したものかしら。こちらに戻って、春休みのお話を、おたがいにできればなんて考えていました。
パティちゃんが輪に入ってくれただけで、とたんに元気になってしまうわたし。なんて現金なんでしょう。
でも、いいえ、パティちゃんにそういう力があるんです。それはきっと、彼女に会ったことがある人なら、みなさん同意してくださるはず。
この日もすっかりめげかけていたルナをはげましてくださって、元気な彼女は風のように去っていって…。
いつものようにわたしが追いかけて、……そう、いつものいちにち。
ペティットでのいつもの日常。わたしにとって、かけがえのない日々、そのひとつでした。この日も……。
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